月: 2018年11月の記事一覧
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司馬さん一日一語☞『美女の基準』
平安時代は、 独自の基準を 生んだ。 私の中のアメリカ女性像というのは、小説と映画がなかだちになって出来あがっている。 アメリカ人の男性は女性の乳房の大きさと脚線美に関心をもつ。 日本の場合、大正期までは女のハト胸と出っ […]
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司馬さん一日一語☞『信長』
この人物は、 不条理や不可知なる ものを並はずれて 憎悪した。 信長という人物が日本歴史に果たした役割は、なんといっても中世の体系と中世的な迷妄を打破して歴史を近世に導いたところにあったろう。 この人物は、不条理や不可知 […]
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司馬さん一日一語☞『挿花』(そうか)
いわゆる “流儀ばな” という名で 遺されている。 辞し去ったあと、なにか、楽しく美しい記憶が余香のようにして胸に残っている。その原因は、その家屋内部のどこかで、ひそやかな存在を保ちつつ、色と香りをふんい気の中に溶かしこ […]
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司馬さん一日一語☞『儒礼』
漢の高祖は 儒礼を採用して はじめて 皇帝の尊貴さを 知った。 皇帝の権威を成立せしめるのは型である。 皇帝とは多分に形而上的存在であり、皇帝の尊貴さとは礼をおこなうことによってのみ臣下にわかるものだ 「わしは今日にして […]
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司馬さん一日一語☞『社稷』(しゃしょく)
もとの意味は、 対の壇のこと である。 社稷(しゃしょく)という漢語がある。 転じて国家と同義語になった。 もとの意味は、対の壇のことである。二基あった。 古代中国で、一つの王朝が興ると、創業の王が、首都の一隅にひっそり […]
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司馬さん一日一語☞『ゴールド・ラッシュ』
日本史には巨大な ゴールド・ラッシュ が二度ある。 秀吉が天下をとった時期。 絵画のタブローとして金屏風や金地の障壁画までが出現した。 安土桃山時代といえば、黄金の膚質(マチエール)でかがやいているような印象をもつのは、 […]
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司馬さん一日一語☞『愚行』
日露戦争後の 最初の愚行は、 官修の 『日露戦史』に おいてすべて 都合のわるいことは 隠蔽したこと である。 これによって国民は何事も知らされず、むしろ日本が神秘的な強国であるということを教えられるのみであり、小学校教 […]
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司馬さん一日一語☞『外法』(げぼう)
外法とは外道と 同じような意味で、 仏法意外の 祈祷術をいう。 すでに奈良朝のころにあったが、貴族が怪奇譚を好んだ平安時代には、大いに民間のあいだで活躍した。 猿の子や猫の頭の干しかためたものを本尊にして、自分の祈祷の霊 […]
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司馬さん一日一語☞『和風』(わふう)
和風とは なんだろうと 考えてみた。 土堤の下に宿の屋根瓦がみえた。 瓦が銀ねずみ色で、屋根の勾配が浅く、軽みのなかに、品のよさがある。 日本建築というよりも、語感としては和風建築である。 和風グリルなどという言葉が、品 […]
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司馬さん一日一語☞『わび』
わびとは 華やぎに 裏うちされた ものであり、 単なる シオレタルモノ ではない。 茶道ではワビとかサビとかいうが、室町から織豊期にかけての貴族・富裕階級で発展したそういう美意識は、われわれ庶民の感覚からみればひとひねり […]
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司馬さん一日一語☞『倭寇』(わこう)
国内の争乱と競争の エネルギーが、 海外にむかったのが 倭寇である。 倭寇はむろん海賊とかならず者というより、冒険的貿易者という性格のほうがつよく、集団的行動に習熟し、武においても結局、明朝衰亡の原因の一つになるほど強か […]
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司馬さん一日一語☞『倭』(わ)
倭というのは、 どういう 人間的イメージ であるか ということである。 日本人はもともと倭とか倭人とかよばれていたし、いまでも中国人や朝鮮人のあいだではこの言葉は生きている。 日本が中国を侵略していたころは、中国の新聞は […]
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司馬さん一日一語☞『老熟』(ろうじゅく)
老熟というのは 他者の立場や事情に 対して理解と優しさを 持つことである。 われわれのエネルギーがつねに武であり、文でなく、多分に倭寇的であったとしても、いずれはその体質なりに老熟したものになるに違いない。 しかし自分の […]
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司馬さん一日一語☞『流』(る)
「流」というのは 律令の刑罰の一つで 死罪に次ぐ 重刑である。 「流」(る)というのは、律令の刑罰の一つで、奈良朝以来、明治初年まで用いられた。 死罪に次ぐ重刑である。 ただし流してしまえばその地では自由に暮らせたらしい […]
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司馬さん一日一語☞『料簡』(りょうけん)
料簡というのは、 仏典の中の漢語で、 料はかんがえる、 簡は選択する、 ということである。 料簡というのは、この時代(室町末期)口語になっていたが、もともと仏典の中の漢語で、料はかんがえる、簡は選択する、ということである […]
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司馬さん一日一語☞『隆逹節』
戦国期に 隆逹節が 一世を風靡し、 その後の 日本の節や唄の 源流をなした 戦国期に、上方でこういう唄がはやった。 「面白の 春雨や 花の散らぬほどに降れ」 堺の富商の子だったという隆逹の作である。 隆逹は1527年の生 […]
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司馬さん一日一語☞『養生』(ようじょう)
「養生」というのは、 鎌倉時代もしくは それ以前からある 口語である。 水道の管理は、市民の養生のために大切です。 とはいわず、明治後はそのことを衛生という。 「田舎へ養生にゆく」というふるめかしい言い方も、しだいに保養 […]
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司馬さん一日一語☞『楊枝』(ようじ)
歯をみがく 木製(まれに竹製)の 道具のことである。 先端が毛のようにくだかれているか、削られて房状をなしているか、ともかく、いまの歯ブラシとおなじ目的の道具である。 楊枝という道具と歯をみがく習慣は、奈良朝に成立した。 […]
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司馬さん一日一語☞『様式』(ようしき)
日本人は ことさらに 様式を尊びます。 たとえば伝統的日本画の特徴が、すぐれた装飾性と様式美であることは、江戸中期の尾形光琳や、その流派としての琳派の絵をみてもわかるでしょう。 能や日本舞踊でもそうです。 能にあっては悲 […]