司馬さん一日一語☞『友情』


「友情」
というのは
明治以後に
輸入した道徳だし、
概念であった。

この年(元治一年)、沖田総司二十一歳、近藤勇三十一歳、土方歳三三十歳である。
これに井上源三郎をふくめて、四人が、天然理心流宗家近藤周助(周斎)の相弟子であった。
それだけに、この四人は、三多摩気質のいわば朋党根性がつよく、ちょっと同時代の、他の武士にはみられない「友情」があった。
筆者の余計な差し出口だが、「友情」というのは当時そういう言葉もない。
明治以後に輸入した道徳だし、概念であった。
当時は「忠孝」というタテの関係のモラルが男子の絶対の道徳である。
しかし「友情」は現実には存在した上州、武州、の若い連中のあいだでとくにその色彩が濃厚であった。
が「友情」とか、「友愛」とかとはいわない。—–義兄弟。という。

☞出典:『新選組血風録』(角川書店)

 

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