司馬さん一日一語☞『くだらない』


江戸生産のものは
くだらない(上方製でない)もの
ということから、
低評価の意味に転じ、
いまでも「つまらぬ」
という言葉と同義語に
つかわれている。

江戸期を通じて、江戸およびその背後農村の商品生産力はきわめて
ひくく、大坂・京を中心としたそれは質量ともに比較にならぬほど高く、くだる(上方から江戸へ)という語感は、明治後の舶来ということに似ている。
江戸生産のものは「くだらない(上方製でない)もの」ということから、低評価の意味に転じ、いまでも「つまらぬ」という言葉と同義語につかわれている。
江戸という、当時世界的な大都市の消費物資のほとんどを、遠い上方から二百数十年運びつづけたという異常な歴史は、他の文明圏にあったろうか(この意味から、大坂の栄えは、じつは江戸期のこの構造の終焉とともに終っているとさえいえそうである。)

それらを運ぶことで、江戸期の海運が発達した。

 

☞出典:『ある運命について』中央公論社

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