司馬さん一日一語☞『ゴールド・ラッシュ』


日本史には巨大な
ゴールド・ラッシュ
が二度ある。


秀吉が天下をとった時期。

絵画のタブローとして金屏風や金地の障壁画までが出現した。
安土桃山時代といえば、黄金の膚質(マチエール)でかがやいているような印象をもつのは、現実の金産額とじかに関連している。
奥州藤原氏の全盛期。
北上川河畔にすさまじいばかりに金が産出した。
マルコ・ポーロを東洋へ誘惑させたのは東海にジパングという金銀島があるという風説であった。
その風説のもとはといえば、この奥州平泉の繁栄であるにちがいない。
「三代の栄耀一睡の中にして、大門の跡は一里こなたにあり。藤原秀衡が跡は田野に成りて、金鶏山のみ形を残す」と、芭蕉は『奥の細道』で詠嘆している。

 

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