司馬さん一日一語☞『親潮』


親潮とは
日本の漁業者から出た
賞賛と感謝の名である。


オホーツク海は、海面の塩分がすくないらしい。

黒竜江(アムール)などの淡水の流入のためだそうで、
この真水に近い海面に“オホーツク海気団”が居すわり、
南から湿った風が吹くと、夏に冷たい霧が発生する。
これが、凶作を生む。
同時に、豊漁も生む。
この寒冷な海水が千島列島の間を通りぬけて太平洋にながれこみ、
北のベーリング海から南下している寒流と合流するとき
“親潮”(千島海流)になる。
親潮(おやしお)とは日本の漁業者から出た賞賛と感謝の名である。
酸素や栄養素に富み、サケ、カニ、タラ、ホタテ貝、ホッキ貝
といったような魚介や海草類をよく育ててくれる。
この寒流は北海道の南東岸を洗いつつ本州の岩手三陸沖あたり
まで南下し、夏は宮城県金華山沖、冬は千葉銚子沖で、
北上してくる黒潮とぶつかる。
要するにオホーツク海は漁民の海である。

☞出典:『街道をゆく』38
オホーツク街道(朝日文庫)

 

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