司馬さん一日一語☞『あり』


「あり」というのは、
記紀や万葉の語感では
ずっと居つづけている
という意味がこめられて
いるように思える。


夜が明けても月が空に居つづけるためにありあけであり、

また『万葉集』第八十七の
「ありつつも君をば待たむ打ち靡くわが黒髪に霜の置くまでに」

(このままで君を待とう、わが黒髪に霜が置くまでも)
に使われている「あり」も、
単に存在するという以上に、
「常に」「このまま」という持続の力がこめられている。

☞出典:『街道をゆく』17
島原・天草の諸道(朝日文庫)

 

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