司馬さん一日一語☞『様式』(ようしき)


日本人は
ことさらに
様式を尊びます。

たとえば伝統的日本画の特徴が、すぐれた装飾性と様式美であることは、江戸中期の尾形光琳や、その流派としての琳派の絵をみてもわかるでしょう。
能や日本舞踊でもそうです。
能にあっては悲しみにさえ重厚な様式があります。
その様式を自分の芸において大完成させることが、名人の道とされています。
観る側も、様式という約束事をよく心得、心をとぎすませて観ていると、シェイクスピアが言語々々で埋めつくして人間と人生を再表現する以上のものいを、能や日本舞踊などの日本の伝統芸能において感じとることができます。
様式という言葉は明治になってできたことばで、おそらく英語のスタイルの対訳からできたのでしょう。

☞出典:『司馬遼太郎全舞台』(中央公論社)

 

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