月: 2018年6月の記事一覧
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司馬さん一日一語☞『玄関』
玄関は、 鎌倉・室町のころ、 禅寺の僧堂の入口の ことをそうよんだ。 やがて、公家や武家の屋敷に、この名称がひろがった。 鎌倉・室町の禅には、老荘の哲学が多くふくまれている。 “玄”は、老子の好む語だった。 くろぐろとし […]
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司馬さん一日一語☞『下克上』
「下克上」 というのは 足利時代初期から 戦国にかけての 風潮であり 流行語であった が、この言葉を編み出し、頻用したのは、 公家貴族と公家化した有力寺院の僧侶で「下、上に剋(か)つ」という下のほうを悪罵してつかったこと […]
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司馬さん一日一語☞『系図』(けいず)
先祖から代々の系統を 書きしるした表。 系譜。家譜。 京の着だおれ、江戸の履きだおれ、大坂の食いだおれ、という。それが東海地方にゆくと、それに語呂をあわせて、美濃の系図だおれと、最後につけくわえる。 系図というのはこんに […]
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司馬さん一日一語☞『笥』(け)
家にあれば笥に 盛る飯を 草枕旅にしあれば 椎の葉に盛る 『万葉集』の有馬皇子の歌は、よく知られている。 家にあれば笥に盛る飯(いひ)を 草枕旅にしあれば椎の葉に盛る という笥(け)は、単に食器という意で、歌のなかの「笥 […]
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司馬さん一日一語☞『黒鍬』(くろくわ)
戦国期には、 諸大名は戦闘員のほかに こういう(黒鍬) 労働力をもっている。 合戦がすむと飛び出して行って死体を片づけたり遺棄兵器を始末するなど、戦場掃除をするのである 平時には城普請などの非技能的労働にも従事する。 戦 […]
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司馬さん一日一語☞『胡桃』(くるみ)
日本には胡桃は もともと無かった。 胡桃や葡萄には、ハイカラなイメージがある。 信州に高燥なヨーロッパの台上の田園を感じたりすることの要素のひとつに、胡桃もかぞえられるだろう。 民族には、潜在的な記憶の伝承というのがある […]
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司馬さん一日一語☞『口』(くち)
「口」 という日本語は 人体器官をさす 基本語だが、 それから派生して 大変便利よく いろんな場合に つかわれる。 念のために『広辞苑』をひいてみると、十八個も語義が出ていた。 しかしその十八個のなかに中世以来ふんだんに […]
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司馬さん一日一語☞『くだらない』
江戸生産のものは くだらない(上方製でない)もの ということから、 低評価の意味に転じ、 いまでも「つまらぬ」 という言葉と同義語に つかわれている。 江戸期を通じて、江戸およびその背後農村の商品生産力はきわめて ひくく […]
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司馬さん一日一語☞『樟』(くす)
クスというのは “奇し”からきた ことばであろう。 この常緑樹は、何百年の苔にまみれた老樹であっても、季節になればさかんに若葉を吹きだす。 それも、あふれるようにである。その若葉がまことに奇しい。 また、つやつやとなめし […]
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司馬さん一日一語☞『径山寺味噌』
覚心は、味噌が すきであった。とくに 径山寺(きんざんじ) で癡絶(ちぜつ)に 参学していたときに 食べた味噌の味が わすれられなかった。 紀州の由良は入江である。 また由良の北にも入江があって、湯浅という。 覚心は湯浅 […]
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司馬さん一日一語☞『きれい』
“きれい”という ことばは、清潔と美が 一つことばなのである 日本人はよほど清潔ずきらしく、 “きれい”ということばは、たとえば、よく洗った皿が きれいである、あるいは、このビンきれいですか、 という意味と同時に、 &# […]
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司馬さん一日一語☞『居留地』
居留地(租界)は、 強力な外国が、 統治力の脆弱な国との あいだでむすんだ条約 によって成立した。 神戸は西暦一八六八年一月一日に開港し、都市化した。 最初は、港の港長までも御雇外国人の英国人だった。 さらに海岸の砂地に […]
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司馬さん一日一語☞『軽忽』(きょうこつ)
室町時代には、 「軽忽」という言葉を かるはずみということ ですが、日常的に、 人によったら日に 二、三回ほど使ってた ような多用言葉だった ようですね。 その言葉が「閑吟集」には、 誰そよお軽忽 主あるを をしむるは […]
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司馬さん一日一語☞『器用』(きよう)
この時代(室町後期) 人を評する上で 「器用」という ことばがしきりに つかわれていた 器用は、後世、その意味が衰弱したが、この時代での器用は、華や いで実がともない、さらには清潔だという語感であり、人に対して この上も […]
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司馬さん一日一語☞『義務』(ぎむ)
義務ということばは 新語でありながら、 明治のひとびとに 愛用され、 頻用されたことは たしかです。 坪内逍遥の『当世書生気質』にも出てきますし、 夏目漱石の『吾輩は猫である』にも出てきます。 主として書生や知識人のあい […]
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司馬さん一日一語☞『玉』(ぎょく)
玉というのは、 半透明の美麗な石のこと で、宝石ほどの透明感はない。 ついでながら、ダイヤモンドをはじめとする宝石を珍重することは インド文明が先駆をなし、ヨーロッパに影響をあたえた。 これに対し、 玉を珍重することは中 […]
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司馬さん一日一語☞『北前船』
大坂湾を中心に考えれば ここから下関へゆき、 ぐるっと北へまわって 日本海岸の港々に 寄りつつ奥州へゆき、 蝦夷地へいたる。 この航路や船のことを、 「北前船」といった。 江戸時代、大坂湾から蝦夷地(北海道)へゆくのに太 […]
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司馬さん一日一語☞『木地屋』(きじや)
木地屋は、 漂泊のひとびとだった。 木地屋とはいうまでもなく、ロクロをもってお盆やお椀などの挽物 を粗挽きする上代以来の山林の職業人のことである (日本の誇るべき漆工芸品の基礎—形づくり—はかれらがうけもったのである)。 […]
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司馬さん一日一語☞『義』(ぎ)
義は戦国期(中国)に できあがった倫理では ないかと思われる。 義とは、骨肉の情や、人間としての自然の情(たとえば命が惜しい など)を越えて倫理的にそうあらねばならぬことをさす。 義は戦国期(中国)にできあがった倫理では […]
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司馬さん一日一語☞『がんまつ』
奈良県方言に 「がんまつ」という ことばがある。 人がなんといおうとも、 あるいは人の利害や感情にはいっさいおかまいなしに、めざす物に 猿臀(えんび)をのばし、 摑みどりにつかんで放さぬという性格をいう。 1931年、関 […]
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司馬さん一日一語☞『勧進』(かんじん)
勧進は本来、 社寺の建立・修繕など のために大衆から金品を あつめる行為をさし、 この行為の伝統がなければ、 たとえば奈良の大仏殿も大仏もこんにち存在しないのです。 同時に、勧進の意味が変化し、 大衆の前で芸能を演ずると […]
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司馬さん一日一語☞『灌頂』(かんじょう)
灌頂というのは ことごとく密教を 体得した者に 授けられる儀式である。 お遍路はお大師さんとともに歩く。「同行二人」(どうぎょうににん)と墨書した笠をかぶっているのは、いうまでもなくお大師さんとともにという意味である。 […]
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司馬さん一日一語☞『官』(かん)
日本の統治機構は、 政府というべきなのか、 それとも「官」といった ほうが語感として本質に 近いものなのか、 敗戦後、戦後社会がやってきたとき、ひどく明るい世界に出たよう な気がし、敗戦を、結果として革命と同質のものとし […]
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司馬さん一日一語☞『韓非子』(かんびひ)
徳という、 儒教にあっては 輪郭不鮮明なほどに 大きなものを 「韓非子」にあっては、 単に損得の得にされてしまう。 「いい君主にとって、臣下を制御する上で、二本の柄だけをもっている」(「二柄篇」)と、 まことに露骨である […]