司馬さん一日一語☞『文化』(ぶんか)


すべて
“くるまれて楽しい”
ということが、
文化なのです。

文明は「たれもが参加できる普遍的なもの・合理的なもの・機能的なもの」をさすのに対し、
文化はむしろ不合理なものであり、特定の集団(たとえば民族)においてのみ通用する特殊なもので、他に及ぼしがたい。

つまりは普遍的でない。
文化とは基本的には、人と共にくらすための行儀や規範のことで、母親の子宮内では養われず出生後の家庭教育や村内での教育に寄る。
井上ひさし氏は、これを、他の哺乳類がもたない「第二の子宮」だとどこかで書いていたが、みごとな把握である。
「第二の子宮」こそ煮つめていえば文化であり、その共有された類型こそアイデンティティーであるといえる。
思いきっていえば、文化人類学的な意味での祖国といえるのではあるまいか

☞出典:『アメリカ素描』(新潮文庫)

文化というものは、魚が魚巣に住むようにサナギがマユにくるまれているようにそれにくるまれていると快いというものであります。
ときに、慣習と同義語でもあります。
慣習は人の心をおちつかせます。
さらに、すぐれた芸術は人の心を快くさせます。
すべて“くるまれて楽しい”ということが、文化なのです。

☞出典:「第1回大阪・アジア文化フォーラム」パンフレットより

 

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