司馬さん一日一語☞『魑魅魍魎』 

魑とは山の神で、
顔はトラである。
魅とは沢の神で、
顔はイノシシである。

陸軍が二種類ある。
「壮士・志士あがりの近衛軍」
「徴兵制による国防軍である鎮台」
桐野(利秋)が前者を代表しているのに対し、山県(有朋)は後者を代表していた。
前者は大隈(重信)のような近代主義的な国家確立論者からみれば魑魅魍魎(ちみもうりょう)の集団としかおもえない。
幕末という革命時代だけに通用したバケモノどもで、新国家建設の邪魔にこそなれ、なんの役にも立たない。
明治国家が正統の国軍にしようとしているのが全国に六つ置く鎮台であった。
この派である山県だけが、大隈にすれば人間の顔をもっている。

☞(「征韓論」より)

 

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