司馬さん一日一語☞『往来』

「往来」という
ことばを考えてみた。


意味は、ふつう道路あるいは人馬のゆききのことだが、
鎌倉時代から江戸時代にかけて、

「往来」(おうらい)といえば、
寺子屋などでつかう初等教育の教科書のことであった。
たとえば江戸末期の大坂では、
往来物の種類が一万点以上もあったという。
また江戸中期の新井白石の自伝『折たく柴の記』にも、
白石の幼時、とくに師匠というものはなく
「ただ往来物の類などを読みならふのみなりき」とある。
要するに往来とは初等教科書のことをさした。

☞出典『街道をゆく』41
北のまほろば(朝日文庫)

 

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