司馬さん一日一語☞『触』(ふれ)

「触」という
言葉そのものは、
古代からある。

遍く告げる、触れまわる、布告する、ということで上から下へ命令をくだす、という場合につかう。
中世にも戦国期にも、陣触(じんぶれ)<動員令>ということばがあった。
たとえば武田信玄が、陣触を発すると、各地に居住する触頭(ふれがしら)どもが自分の傘下にそのふれをつたえ、触れられた者は郎党をひきつれてあつまってくる。
江戸期には下々に達する法令、規制類の文書を御触書(おふれがき)といった。要するに漢語でいえば下撻である。

☞出典:『街道をゆく』13
壱岐・対馬の道(朝日文庫)

 

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