司馬さん一日一語☞『一味』

ある目的のためには、
身分の上下はない。
みな気をそろえ、
平等に力をつくそう。
ということから、
一味が社会的な用語に
なった。

もともと仏教語で
「法(絶対の真理)の前にはすべて平等である」
というのが原意で、願阿弥など聖たちが、一味(いちみ)の雨はありがたや。
などといって、法を説きまわる。
雨が、国土や草木に平等にふりそぐように、真理は平等である、
ということから、
—–ある目的のためには、身分の上下はない。みな気をそろえ、
平等に力をつくそう。
ということから、
一味が社会的な用語になった。

このことばが流行語になるというのは、社会(室町後期)に
そういう状況と基盤がうまれているということである。

 

☞出典:「箱根の坂」(講談社)

 

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