司馬さん一日一語☞『カラ』

「カラ」という
古語は、
海のむこうのこと
である。


古朝鮮においては、その半島の南端、洛東江の下流の小地域が伽耶(伽羅)国とよばれていて、そのあたりに「倭」とよばれる者達も混在していた。

「カラ」という古語は、海のむこうのことである。
外国、異国、異文化、をさす言葉としてのちのち地理的概念が変化するが、古朝鮮に対応する日本の古代にあっては伽耶・伽羅のことをさし、これがカラという日本語の原(もと)の地理的概念である、と言いきっていい。

☞出典:『街道をゆく』18
越前の諸道(朝日文庫)

※いまの釜山近辺の小国伽羅が、のち日本語の中で単に外国をあらわすことば(カラ・韓・唐)として発展してゆく。※九州の浦々では二十世紀に入ってからでも、海外への出稼ぎ婦人のことをカラユキサンという。

 

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