司馬さん一日一語☞『鎮守の森』

昔から鎮守の森
というのがありまして、

むろん今はたれも以下のことは信じていませんが、伝承として、神様は木を伝って降りてくると信じられていました。
だから鎮守は本来森だけだったわけです。
少なくとも十世紀ぐらいにわれわれが逆戻りできるとしたら、日本じゅうに神社が何万あってもそこには建物はほとんどなかったでしょう。
森を神聖なものだと思っていた。
森は神様がやってくるところ、古い日本語でいいますと、天から降りてくる、あもりしてくる場所だと思っていたものですから、木を伐らなかった。
神社の森は伐らなかったのです。
そういう思想がかろうじて日本の自然を守らせてきたのです。

 

☞出典:『十六の話』(中央公論社)

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