司馬さん一日一語☞『畠』(はたけ)

「畠」という
文字が
おもしろい。
漢字ではなく、
国字である。

日本では稲作水田のことを田というが、漢字の本家中国では、田の字は、稲作、麦作、または蔬菜畑を区別しなかった。
ところが、日本の奈良朝はコメをもって基盤としたため、ハタケは軽んじた。
朝廷の書記たちは、ハタケのことを、とくに、「白田」(はくでん)と書いた。
白とは、コメはゼロという意味である。
ついには二字が重なって、畠という字ができた。
ついでながら、焼畑を想像させる畑という字も、国字である。

☞出典:『街道をゆく』42
三浦半島記(朝日文庫)


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