司馬さん一日一語☞『料簡』(りょうけん)

料簡というのは、
仏典の中の漢語で、
料はかんがえる、
簡は選択する、
ということである。

料簡というのは、この時代(室町末期)口語になっていたが、もともと仏典の中の漢語で、料はかんがえる、簡は選択する、ということである。
この時代の処世哲学的ことばで、人格や精神の中心をなすものは、やはり心であるらしい。
その心のあらわれとして徳とか器量とかという概念がある。
徳・器量というぼうばくとした輪郭のなかに知慮という活性の液体がたたえられている。
その液体から出てくるよき思慮が、料簡である。
ひとびとは、そういう人格を尊重した。
そのような人格における心の働き、さらには具体的なあらわれとしての料簡といったものが、人の主たる者の持つべき条件とし、そういう人物を頼った。

☞出典:『箱根の坂』(講談社)

 

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