司馬さん一日一語☞『大儀』(たいぎ)

「大儀」
秀頼という青年は、
家来にこれ以上
ながいことばを
言ったことがない。

なみはずれた大男で容貌も秀麗であり、内々のうわさで漢字(まな)の書物などもすらすら読むくせに、表お座所に出るとこれだけしか言えないのである。
—-おそらく不覚人(あほう)たるべし。
というのは、城内や城下のしもじものうわさで、この点、損をしていた。
淀殿は、秀頼を公卿風にそだてようとしたのだが、失敗であった。

☞出典:『城塞』(新潮社)

 

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