司馬さん一日一語☞『倭寇』(わこう)

国内の争乱と競争の
エネルギーが、
海外にむかったのが
倭寇である。

倭寇はむろん海賊とかならず者というより、冒険的貿易者という性格のほうがつよく、集団的行動に習熟し、武においても結局、明朝衰亡の原因の一つになるほど強かったが、半面、商品経済においてもするどい感覚をもっていたように思える。
しかし、倭寇は倭寇でしかない。
最大の倭寇になった豊臣秀吉の大明征服計画にしても、その野望の目的が、たとえば中国や朝鮮に武力を先に立てて思想を宣布しにいくというようなものでなく、見境もないエネルギーの表現というだけのものであった。

 

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